今年の漢字とは・・・
公益財団法人 日本漢字能力検定協会が主催し,12 月 12 日(いいじいちじ)の「漢字の日」に協会のある京都の有名寺院である清水寺で,そのお寺のお住職(正しくは貫主〔かんす〕と言います)が,揮毫される行事です。今年でもう25年続いているんですね。
大方の予想通り,今年の漢字は「令」でしたね。
全国からの応募総数216,325 票の14.07%にあたる30,427 票を集めた漢字が,「令」ということでした。
新元号「令」和に新時代への期待や希望が込められているのでしょうね。
応募者の理由の中には,
☆日本最古の歌集「万葉集」中の「初春の令月」から取った字で,「令」の持つ,素晴らしい・良いという意味に日本の伝統文化の素晴らしさを再認識した
☆消費税増税などの法「令」改正,闇営業・脱税・薬物使用など芸能界の不祥事など法「令」順守に対する意識の高まり,災害による警報発「令」,避難命「令」もあった
というものもありました。
白川静さんの「字統」をひもといてみますと,『礼冠を着け,ひざまずいて神意を聞く人の形』とあります。確かに,自然を崇拝する古代の人にとって神からのお告げというものは絶対であったことでしょう。そしてそれは,間違いのないもの・素晴らしいもの・良いものを意味してもおかしくはありません。
ですが,それが徐々に支配者からの守らされるもの,押し付けられるものとなり,唐の時代には律令制度(律は刑罰についての決まり,令は政治を行う上での決まり)として使われるようになります。その文化を吸収した日本もまた701年に大宝律令として令の字を扱っています。万葉集が完成したのが783年頃と言われていますから,日本人が「決まり」としての意味だけでなく,本来持つ意味も正しく伝えられていたことが分かります。遣隋使や遣唐使として学び,その文化を日本にもたらしてくれた先人達に頭が下がります。
また,12月2日にはその年話題となった新語・流行語を決定する,『2019 ユーキャン新語・流行語大賞』(現代用語の基礎知識選)も発表されました。“年間大賞”に日本が初の8強入りを遂げ、列島が沸いたラグビーW杯日本大会のチームのスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」が選ばれました。
トップ10には「計画運休」「軽減税率」「スマイリングシンデレラ/しぶこ」「タピる」「#KuToo」「◯◯ペイ」「免許返納」「闇営業」「令和」が選出されています。今年は芸能人発の流行語がなかったのが驚きでした。
この発表まで,恥ずかしながら,トップ10入りした言葉の中で,「#KuToo」が何なのか知りませんでした。
セクハラの被害体験を告白・共有する際にツイッターで「#MeToo」とハッシュタグをつけることは知っていましたが,これをもじって「靴」と「苦痛」を掛け合わせた言葉,つまり,日本の職場で女性がハイヒールおよびパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する社会運動のことだったのですね。確かに先細の靴は見ていて痛そうだし,ハイヒールってバランス取りにくそうですものね。以前,都市部の交差点でハイヒールに踏まれた人が足を複雑骨折したというニュースを聞いたこともあります。男性も安全になってお得ですよね。ところで,男性は革靴着用が義務付けられてないのでしょうか?靴蒸れや水虫対策に下駄や雪駄を履いて闊歩する男性の姿を目にするようになる日も近いのでしょうかね。
私にとっての今年の漢字は,「拓」。
長く更地と化し,雑草の茂っていた土地を拓き塾を建て,「見える化」という簡単にできて皆が実行しないスタイルの塾を切り拓き,子どもたちの未来を拓くために粉骨砕身する決意を固めたこと。
この1字につきます。皆さんの今年の漢字は何でしょう?幸多い漢字であることを願います。